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白い球体になりたい

音楽好きだし、ゲイだし、世界が終わらないことも知ってる

僕が名古屋に居る理由

愛知県名古屋市
総人口およそ230万人。この値は、東京都23区の4分の1程度である。
主要な産業は製造業で、トヨタ自動車関係の会社があふれている。
僕はこの街で生まれて育った。
 
就職活動していたころ、僕には好きだった人がいた。
その人と一緒に暮らせるならまぁ地元で就職するのが吉かなと思い、そうした。
その人とは結局直後に別れて、僕は名古屋で働いている。
安直な人生の選び方をした自分への罰なんだと思いながら。
 
人生なんてどうとでもなる、と思っている節がある。
いざとなれば仕事なんてほっぽりだして、東京だろうがニューヨークだろうが行ってしまえばいい。
その場その場でどうにかして生きていこう。
そこでどうしようもできなくなったらあきらめて、別の手段を考えよう。
僕はそういう行き当たりばったりな人間だ。
 
現状、名古屋に27年住んで、この街に不満は特にない。
東京での楽しそうな暮らしがSNSを通じて観察できるけど、
結局、その楽しそうな生活というのはヒエラルキー由来のものだ。
東京という土地柄で享受できる部分はあるだろうが、一部であると思うし、
何もそういうパーティーピーポーになりたいと思ってるわけではない。
僕はどこか息抜きが出来る場所と、美味しいご飯が食べられる場所と、
歩いてて楽しい街があればそれでいい。
 
それに、東京という街はとても近いのだ。
一万円と90分さえ支払えば、新幹線という便利な電車が東京を僕にくれる。
行きたい時にいつでも行ける。なんなら仕事帰りにふらっとでもね。
いつでもいけるからこそ、行こう行こうと強迫観念にさらされることも少ない。
おそらく大体の名古屋人が地元に残る(=東京へ上京しない)のは、
「東京なんていつでもいける」とわかっているからなのだと思う。
嘘みたいに高い飛行機に乗らなくていいし、
駅から車で1時間以上走って実家に向かったりもしない。
ここはそういう構造の街ではないのだ。
 
ただ、
 
現状名古屋でこのまま40年、今の会社で働いたあと、
例えば定年退職して自分の部屋に帰ってきたあと、
僕はその一瞬の最大瞬間風速で吹きすさぶ孤独に耐え切れる自信がない。
おそらくその場で塵となって消えてしまうだろう。
それが「東京」で解決できるか?答えはノーだ。
東京という魔法の言葉でも、孤独死はきっと解決できない。
しかし、名古屋という呪文よりは可能性があるんじゃないか、という気がしてならない。
新しいことが始まるのが必ず「東京」からなのは、僕も重々わかっているから。
そんな些細な希望にすがりたくて、
そう遠くない未来、私は上京するつもりでいる。
 
僕が名古屋にいる理由はたくさんある。
友達だって名古屋に残っていること、
「東京なんていつでも行けるさ」と、たかをくくっていること、
この街で力を貯めてからじゃないと、東京でろくな生活を送れないと思っていること。
ゲイセクシャルという特殊な世界で、いかに強かに生き延びるのか、
僕は今この街で、ああでもないこうでもないと考えながら、上京の機会を模索している。