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白い球体になりたい

音楽好きだし、ゲイだし、世界が終わらないことも知ってる

東京と私

新幹線の車窓を流れる、寝静まった街並を眺めていると、ふと目のピントがズレて、27歳になった私の顔が映し出された。

隣の人が音漏れさせているメタル・ミュージックと、新幹線の低周波音が不思議な共鳴を起こし、私は東京を離れる感傷に浸りきっていた。

 

東京はすぐに見えなくなり、通過する駅表示だけが私の現在地を教えてくれる。真っ暗な車窓は地下鉄さながらの味気なさで、申し訳程度に付いた街灯が、大晦日独特の静寂にスポットをあてていた。
 
東京は不思議だ。
ふと、急に名古屋に帰りたくなる。
こんなに東京は素晴らしくて、全てが絵になる街であるというのに、
まるで電池が切れてしまったかのように、
名古屋に帰りたくなってしまう。
東京という街に、入り込めない。
こんなに恐ろしいことがあってはならない。
 
疲れはてた一家の寝息が、メタルミュージックとシンフォニーを奏でる。私は耐え切れず、東京の唄を歌う。全て、跡形もなく新幹線の轟音に飲み込まれてしまった。