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白い球体になりたい

音楽好きだし、ゲイだし、世界が終わらないことも知ってる

日常

久々に定時で帰る。いろんな人に迷惑をかけながら、冷たい態度を取られながら、それも当然だなって自分自身で納得しながら、生きている。

通勤の電車に、いつもかっこいい人が乗ってくるので、挨拶でもしてしまいそうになる。僕が新入社員だった頃は彼は学ランを着て電車に乗っていたはずなのに、最近ではたまにスーツを着て電車に乗っている。時間は確実に流れていく。もちろん、私の全く関係のないところで、だ。

ある日の帰り道、今日は絶対にジムに行かないと心に決めて電車に揺られていた。残業が続き、人生ってなんだろう、私の時間はこうやってお金になり、松屋へ消え、名鉄へ消え、ゴールドジムへ消えていくのかとふと思っていたところ、急に車内がざわざわし始めた。

どうやら、僕の斜向かいの座席に座っていた、仕事帰りと思しき中年の男性が、意識がないようだ。初めは眠っていると思っていたのに…と隣にいた女性がこぼす。肩をゆすろうが返事はなく、呼吸をしている仕草もない。電車の緊急停止ボタンを押し、駅員を呼び出し状況を伝えた。そこそこの混雑で、人の行き来は若干困難な中、駅員がそこのけそこのけとやってきた。救急車を呼びながら、彼女は電話口で「心臓マッサージなんて私やったことない…」とパニックになっている。ちょうどよく「看護師です」と名乗り出てくれた方がいて、その場で心臓マッサージが始まる。結果、彼は近くの駅で待っていた救急隊員に運ばれていった。

ジムにいく気もしないのに、ジムの最寄りのK駅でいつも通り降りた後、電光掲示板が電車のダイヤ乱れを伝える。彼の無事を私が知るすべはない。全ての思考を停止させたのち、K駅の雑踏が私を日常に引き戻した。